30分のミニ講義を聴講しよう! 先端科学技術を支える材料開発と物性評価

現代の科学技術の進歩を支えているのは、新しい物質の開発(物質化学)です。21世紀の材料を担うと期待される強い電子相関をもった系、例えばエキゾチック超伝導体や遍歴磁性体の最新の結果を示しながら、固体物性の分野について紹介します。

受講した高校生のコメント

先生からのメッセージ

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京都大学の理学部の特長は「緩やかな専門化」です。最初はみんな理学部理学科で始まり、化学を専攻したとしても、後に物理や生物の研究に進むこともできます。ですから、とにかく物質に興味があるというあなたは、まず化学を選択してみるのはどうでしょう。化学は、実に幅広い学問分野につながっています。まだわからないことがとても多く、化学反応の可能性などは無限に広がっています。そして、もし常温超伝導体の合成に成功すれば、送電効率が飛躍的に上がって大幅な省エネになるなど、化学は実社会にも貢献できる学問分野なのです。

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夢ナビ講義も読んでみよう 次世代新幹線リニアモーターカーを支える超伝導

モノを極限まで冷やすとどうなるか 物質化学の分野で、非常に盛んに研究されているテーマの一つが「超伝導」です。超伝導とは、ある金属や化合物などを絶対零度(摂氏マイナス273.15度)に近いレベルの極低温にまで冷やしたとき、電気抵抗が急激にゼロになる現象のことを言います。1911年、オランダの物理学者カメルリング・オネスが、液化ヘリウムを使って水銀を冷やし、絶対温度4.2度(摂氏マイナス269度)で電気抵抗がゼロになることを発見しました。世界で初めて「超伝導現象」が確認された瞬間です。 超伝導のとても不思議な特徴 超伝導状態になった物質は、二つの特異な性質を帯びます。一つは電気抵抗がゼロになること、もう一つは磁力線をまったく取り込まなくなることです。これを「完全反磁性」または「マイスナー効果」と言います。通常の物質には、必ず磁力線が入り込みます。どれぐらい入り込むかは物質によって異なり、例えば鉄は磁力線を多く取り込むので磁石を近づけるとくっ付くのです。逆にアルミなどは磁石を近づけても反応しません。アルミも磁力線を取り込んではいますが、鉄ほどではないからです。
これに対して超伝導状態になった物質は、磁力線を完全に遮断します。強力な磁石の上に超伝導物質を置くと、行き場を失った磁力によって空中に押し上げられるのです。超伝導物質は完全に浮いているので、わずかに力を加えれば抵抗なく動きます。この原理を応用したのがリニアモーターカーです。
超伝導で浮き、磁力で走るリニアモーターカー 日本のリニアモーターカーは、車両に設置した超伝導磁石と線路側に設置したコイルによる電磁誘導で車体を浮かせ、超伝導磁石と軌道側に設置された電磁石による磁極間の反発力・引力を使って推進力を得るのです。推進力の原理は通常のモーターと同じですが、モーターが電磁石のNS極の切り替えで回転力を得るのに対して、軌道側の磁石を直線的つまりリニア(linear)にNS極を切り替えて力を得ます。だから「リニア」モーターカーと呼ばれるのです。

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京都大学の理学部の特長は「緩やかな専門化」です。最初はみんな理学部理学科で始まり、化学を専攻したとしても、後に物理や生物の研究に進むこともできます。ですから、とにかく物質に興味があるというあなたは、まず化学を選択してみるのはどうでしょう。化学は、実に幅広い学問分野につながっています。まだわからないことがとても多く、化学反応の可能性などは無限に広がっています。そして、もし常温超伝導体の合成に成功すれば、送電効率が飛躍的に上がって大幅な省エネになるなど、化学は実社会にも貢献できる学問分野なのです。

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教授 吉村 一良 先生