帝塚山大学 法学部 法学科 教授 末吉 洋文 先生

30分のミニ講義を聴講しよう!
「人道的」な兵器ってあるのだろうか?
紛争は、平和的手段によって解決されるのが国際法上の大原則です。しかし、武力紛争にまで発展した場合を想定したルール作りも残念ながら必要なのです。講義ライブでは対人地雷やクラスター爆弾などを例に、国際法による兵器の規制問題についてお話しします。
先生からのメッセージ
国際問題は、日常的な生活と直接的な関わりをあまり感じないかもしれませんが、実は深く関わっているものです。世界で起こっていることはすべてが私たちとつながっていると言ってもいいかもしれません。将来的にどのような仕事をするにしても、国際的な視野がある人になってほしい。そのため新聞やテレビ、そしてインターネットなどを通じて、国際問題に対するアンテナを常に張っていてほしいと思います。
先生がめざすSDGs
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「人道的」な兵器がある?
非人道的兵器の規制は、なかなか難しい
兵器は人を殺傷する目的をもって作られますから、「人道的」という言葉は矛盾しているかもしれません。しかし、武力紛争時に使用しても構わない武器が存在する一方で、非人道的兵器、すなわち使用してはいけない武器が条約によって決められています。
例えば、クラスター爆弾。ひとつのケースの中に数多くの小さな爆弾が入っていて、次々に爆発するものです。しかし、すべての爆弾が、投下した時に爆発するとは限らず紛争後も不発弾が残ってしまいます。また、地雷も爆発するまでずっと埋められたままです。これらは戦争が終わった後でも、人を傷つけることがあるので、非人道的兵器と呼ばれています。
クラスター爆弾を規制するオスロ条約や、対人地雷を禁止するオタワ条約など非人道的兵器を国際的に規制するための条約はできました。しかし、すべての国が条約に参加するわけではありませんし、次々と新しい兵器が開発されたり、条約の抜け道を使って使用されたりと、完璧な規制はなかなか難しいのが現状です。
国際法は世界平和を実現するための手段である
宇宙から深海底までの範囲を、そして国家や個人のあらゆる活動をカバーする国際法は様々な問題への対処を迫られています。最近注目されている地球温暖化やテロ問題などは多数国間条約による国際協力なくしては解決できません。また、2030年までに達成すべきとされているSDGs(持続可能な開発目標)の達成においても国際法が各国によって守られることで目標達成に近づくことになるでしょう。
上で見たような兵器を規制することも国際法の守備範囲です。現在は、AI(人工知能)を使ったロボット兵器や無人爆撃機(ドローン)、そして本来的には国家が遂行するはずの戦争を請け負う民間軍事会社をどのように規制していくべきかがまさに議論されているところです。
国際法は世界平和を実現する道具であることは間違いないのですが、それを上手に生かすことができるかどうか。今まさに人類の叡智が問われています。
先生からのメッセージ
国際問題は、日常的な生活と直接的な関わりをあまり感じないかもしれませんが、実は深く関わっているものです。世界で起こっていることはすべてが私たちとつながっていると言ってもいいかもしれません。将来的にどのような仕事をするにしても、国際的な視野がある人になってほしい。そのため新聞やテレビ、そしてインターネットなどを通じて、国際問題に対するアンテナを常に張っていてほしいと思います。
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