宮城大学 看護学群看護学類 教授 大熊 恵子 先生
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう患者さんの「生きる力」を取り戻すための精神看護とは
意思決定の尊重が患者さんの回復を促進する精神医療の進歩や、治療後の患者さんの退院を促進する医療改革によって、何十年も病院で暮らすような患者さんは減少しつつあります。しかし長年入院している患者さんの中には、症状が落ち着いていても、社会で暮らすことに不安やとまどいを感じる人が少なくありません。こうした患者さんが社会に出るための看護支援として、まず患者さん自身が今後どうしていきたいのかを意思決定できるように一緒に考えます。そして、その決定を尊重してかかわることで患者さんはエンパワー(力を取り戻し、発揮できるようになる)されます。そうすることで、患者さんはリカバリー(回復)し、生きる力を取り戻せるのです。強みに働きかけ、成功体験を積み重ねるリカバリーの支援方法の1つに「ストレングスモデル」があります。患者さんの強みや希望などを一緒に見出し、そこに働きかけて成功体験を積み重ねていくことで、自信をつけてもらおうという支援です。ギターが好きだった患者さんは、楽器が弾ける住まいを探そうと主体的に動きだしました。 最初は、周囲の人に「おはよう」が言える、といった小さなことでいいのです。「自分が認められている」と感じることで、少しずつ自信が蓄積され、リカバリーに向かうことができます。ただし即座に効果が出るものではなく、根気よく取り組むことが肝要です。精神疾患に対する理解が重要一般に、精神疾患は恐いもの、と誤解されがちですが、治療法・薬・支援方法に関する研究が進み、リカバリーが可能になっています。統合失調症は100人に1人が発症し、特に思春期に発病することが多く、幻覚や妄想などの陽性症状、ひきこもりなどの陰性症状などが表れます。 過度なストレスや、ストレス耐性の低さが原因とも言われていますが、明確ではありません。初期ならば通院治療も可能なケースもありますが、本人も周囲も異変を気づきにくく、早期発見が遅れがちです。今後、精神疾患に対する知識が多くの人々に周知・理解されていくことが期待されています。先生からのメッセージ
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