大阪大学 人間科学部行動学科目 基礎心理学分野 教授 入戸野 宏 先生
30分のミニ講義を聴講しよう!「かわいい」のちから
あなたは、何を「かわいい」と感じますか? 赤ちゃんや動物、キャラクターなど、対象は人それぞれです。かわいいと感じることには、どんなメリットがあるのでしょうか。実験心理学という手法を使って、「かわいい」の秘密に迫ります。
「かわいい」を語源から考える
「かわいい」と「幼い」の関係性
笑顔とかわいいの相互作用
「かわいい」のちから
先生からのメッセージ
夢ナビ講義も読んでみよう子どもはなぜかわいいの?
かわいいと感じるのは本能?体にくらべて大きな頭、少し突き出たおでこ、顔の真ん中よりやや下にある目……。このような身体特徴を持った赤ちゃんを人はかわいいと感じます。これは赤ちゃんを見たときに自動的に引き起こされる反応、すなわち人間の本能であると考えられてきました。ノーベル賞を受けた動物行動学者コンラット・ローレンツは、人間や動物の赤ちゃんに見られる身体特徴を「ベビースキーマ」と呼び、人がそのような刺激を受け取ると相手を守ろうとする行動が自然に生じると説明しました。子どもが一番かわいい時期ところで、子どものかわいさ(かわいらしさ)のピークは何歳でしょうか。生まれたばかりの赤ちゃんから3歳ぐらいまでの子どもの写真を並べて、最もかわいいのはどれかと尋ねる調査が行われました。その結果選ばれたのは、1歳前の子どもで、生まれたばかりの赤ちゃんは逆に最もかわいくないと感じられました。もし、幼くて弱いものを守る本能と「かわいい」が関係しているなら、一番保護を必要とする生まれたばかりの赤ちゃんを、最もかわいいと思うはずです。1歳前の子どもは、母親から離れて自分で動き出せるようになる時期なので、生後間もない赤ちゃんほどの保護は必要ありません。「かわいい」と思うのは相手と仲良くしたいからではなぜ1歳前の子どもを最もかわいいと思うのでしょうか? 最近の心理学では、その年代の子どもは大人と一緒に遊べるようになるからだという説が提案されています。つまり、「かわいい」というのは、相手を保護したい、守りたいという気持ちではなく、相手と仲良くしたい、一緒にいたいという気持ちと関連しているのです。また、同じ対象をかわいいと感じることは、仲間であることの証です。一般的に女性のほうがかわいいものに関心が高い理由は、女性のほうが人間関係を重視する傾向にあるからでしょう。先生からのメッセージ
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