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山口大学 経済学部 経済学科 柏木 芳美 教授

自由貿易はなぜよいのだろう

自由貿易はなぜよいのだろう

山口大学 
経済学部 経済学科

柏木 芳美 教授

30分のミニ講義を聴講しよう!自由貿易はなぜよいのだろう

今話題になっているTPPは、より自由な貿易をめざしたものです。経済学者は自由貿易がよいと考えていますが、その根拠はどのようなものなのでしょうか。自由貿易はなぜよいのか、高校生の皆さんにもわかりやすいようにお話しします。

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先生からのメッセージ

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ミクロ経済学では、数学を使っていろいろな経済現象を説明できます。例えば、「余剰分析」という概念を使うと、自由貿易がなぜよいかを論理的に理解できます。関税を課すと自由貿易にはない「死荷重」というマイナス余剰が発生します。その結果、社会的余剰が減ってしまうので、関税を課すよりも自由貿易のほうがよいということがわかるのです。
文系である経済学というと数学とは無縁と考えている人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。経済に興味のある人は、ぜひ一緒に勉強しましょう。

夢ナビ講義も読んでみよう自由貿易がよい理由が、ミクロ経済学なら一目でわかる!

価格と数量の変化で経済を考える 「ミクロ経済学」とは、消費者や生産者という小さな単位で市場を分析する学問です。例えば価格の変化に対して取引の数量がどう変化するかをグラフで表すなどして、経済現象を理解します。消費者は、価格が高いほど買いたい欲望(需要)は減ります。縦軸に価格、横軸に取引の数量を表したグラフで示すと、需要は右下がり曲線になります。反対に、生産者は価格が高いほど売りたい欲望(供給)が増えます。供給は右上がり曲線になります。 自由貿易なら「お得感」が増える! 貿易をせず国内だけで需要供給が完結しているときの価格は、先の2つの曲線が交わった点Pで均衡(成立)します。
ただ、ゲーム機の均衡価格が1万円だとして、1万2000円までは払ってもよいと考える人もいます。実際の購入価格が1万円だとすれば、その人は2000円得した気分になります。これを「消費者余剰」と言い、グラフでは需要曲線と価格で囲まれた三角形(価格の上の部分の三角形)です。生産者でも、同じように「生産者余剰」も存在し、グラフでは供給曲線と価格で囲まれた三角形(価格の下の部分の三角形)です。つまり、数学で社会のお得感を換算できるのです。
では、貿易をする場合を考えてみましょう。自由貿易で安い製品が輸入され、価格がP’に下がった場合は、生産者余剰は減りますが、消費者余剰が増えるので2つを加えた総余剰は、貿易をしないときよりも、三角形abcの面積の分だけ増えることになります。つまり「お得感」が増えるのです。
関税をかけるとどうなる? そこに、関税をかけた場合は、価格が上側のP’’にシフトします。すると消費者余剰は減り、生産者余剰は増えます。さらに輸入量×関税分の税収が加わります。ところが、消費者余剰、生産者余剰、税収を合わせても、自由貿易の総余剰には達しません。その差分を「死荷重」と呼びます。つまり関税がかけられると、社会的なお得感は、税収分を考慮しても減ってしまうのです。

先生からのメッセージ

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ミクロ経済学では、数学を使っていろいろな経済現象を説明できます。例えば、「余剰分析」という概念を使うと、自由貿易がなぜよいかを論理的に理解できます。関税を課すと自由貿易にはない「死荷重」というマイナス余剰が発生します。その結果、社会的余剰が減ってしまうので、関税を課すよりも自由貿易のほうがよいということがわかるのです。
文系である経済学というと数学とは無縁と考えている人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。経済に興味のある人は、ぜひ一緒に勉強しましょう。

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